中日再建の秘密兵器か。大塚晶文コーチ兼スカウトが米国で「宝探し」 (6ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text & photo by Asa Satoshi

 幾重にも重なるメジャーのファームシステム。アメリカでは、各クラスのチーム運営も考えながら、究極はトップチームにいかに効果的に戦力を補充していくかを、システマチックにマネジメントしている。投手陣に関しては、ピッチングコーディネーターがこれを担当しているという。

「今度、シングルAのプロスペクトが2Aに昇格するんですけど、調子がいいからといってどんどん昇格させても、選手を出したチームに支障が出てきます。そういうのもすべて、ピッチングコーディネーターが調整するんです。ホント、すごいですよ」

 大塚の話を聞くと、日米の組織の差を感じずにはいられない。日本ではケガ人や余剰戦力になった選手を次々とファームに落とし、肝心の育成ができないことに一、二軍の指導者の間で不協和音が起こることもあると耳にしたことがある。そのことに話を向けると、大塚は一笑してこう言った。

「いえいえ、アメリカでもありますよ。詳しくは言えませんが......」

 大塚が言うトップとは、GMもしくは投手陣ならピッチングコーディネーターを指すのだが、彼らの決定にはメジャーの監督さえも立ち入ることができないのだという。しかし、そのトップの判断に選手の実力以外のものが絡むときもあるようだ。

「だから、実力がありながらくすぶっている選手はアメリカにもいるんです。そういう選手を見つけて、日本向きならピックアップしていきます」
 
 現場からのスカウティング。中日の新しい試みが実を結ぶかどうかは、大塚にかかっていると言っても過言ではない。

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