2017.08.17

中日再建の秘密兵器か。
大塚晶文コーチ兼スカウトが米国で「宝探し」

  • 阿佐智●文・写真 text & photo by Asa Satoshi

「すみません、遅くなっちゃって」

 日米通算176セーブを挙げた往年の名ストッパー・大塚晶文がロッカールームの前に姿を現したのは、試合後30分以上経ってからだった。彼は今、サンディエゴ・パドレスの3A、エルパソ・チワワズのピッチングコーチを務めている。

 普段はブルペンを担当しているのだが、この日はマイナーチーム特有の、指導者に与えられる年4日の有給休暇のためチーフコーチが不在。そのため大塚は試合中、ブルペンとベンチを忙しく往復し、試合後はチーフコーチに送るレポート作成に時間を割いていたという。

コーチ兼スカウトとして多忙な日々を送っている大塚晶文 しかも大塚がこなしているのは、パドレスの仕事だけではない。彼にはもうひとつ重要な任務がある。実は、大塚はパドレスだけでなく、昨年所属していた中日ドラゴンズの一員でもあるのだ。

 中日といえば、森繁和監督がコーチ時代からドミニカに足を運ぶなど、独自の外国人選手獲得のパイプづくりをしてきた。だが監督となったことで、森がこれまでのように動けなくなり、新たなパイプづくりの一環として、メジャー経験があってアメリカの野球を知り尽くしている大塚に白羽の矢が立てられたのだ。

 大塚はパドレス承認のもと、スカウトも兼ねる形で中日からの派遣コーチとしてアメリカに舞い戻った。

「もちろん、いい選手を探すためにこっちに来ていますから、コーチをしながらもスカウト目線で選手を見ている部分はあります。自分のチームだけでなく、対戦相手の選手もね。(森)監督からは、アメリカとのルートをつくってくれと言われています。これまで獲得してきた選手はずっとラテン系だったので、アメリカ人の獲得ルートをつくってほしいと。それに、森さんが昨年までドミニカで見た選手の追跡調査もしています。スカウトだけという話もあったのですが、僕もこっちでコーチをしたいという希望もあったので……。それでパドレスに話をしたら、『ぜひ!』ってことになって。パドレスからは、『日本と4年間のメジャー経験を選手に伝えてやってくれ』と言われています」