カブス108年ぶり世界一の裏に、凄腕フロント「5ヵ年計画」があった
今年のワールドシリーズはシカゴ・カブスがクリーブランド・インディアンスを4勝3敗で破り、108年ぶりの世界一となって幕を下ろしました。さまざまな苦難の歴史を歩み、近年も低迷が続いていたカブスがどうやって復活を遂げたのか、今回はその背景について紹介しましょう。
優勝パレードでは500万人ものカブスファンが歓喜に沸いた カブス復活の序章は、2009年にアメリカの大富豪リケッツ・ファミリーがチームを買収したところから始まりました。1908年以来、長年遠ざかっているワールドシリーズ制覇のために、新生カブスはフロントの組織作りから着手したのです。
まずは2011年10月、カブスはセオ・エプスタインと5年契約を結んで球団副社長とし、編成部門の責任者に任命しました。エプスタインはアイビーリーグの名門エール大学出身のエリートで、2002年に当時メジャー史上最年少の28歳でボストン・レッドソックスのGMに就任した人物です。2004年にはレッドソックスに86年ぶりの世界一をもたらして「バンビーノの呪い」を解き、2007年にも2度目のワールドチャンピオンに導きました。
また、そのエプスタインと同時にフロントに入ってカブスのGMに就任したのが、ジェド・ホイヤーです。ホイヤーは2002年からエプスタインのもとでレッドソックスのGM補佐を務め、2009年10月からサンディエゴ・パドレスのGMに就任した人物。エプスタインとホイヤーは、低迷するカブスを蘇らせるべく、ふたたびタッグを組むことになりました。
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プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)