歴代大統領もマウンドへ。メジャー開幕戦は「特別な日」
2015年シーズンのメジャーリーグは、現地4月5日(日本時間4月6日)に行なわれる「シカゴ・カブス対セントルイス・カージナルス」のカードで幕を開けます。日本でのシーズンスタートは「開幕3連戦」のようにカードが組まれますが、メジャーはそうではありません。開幕戦が行なわれたあとは、通常1日置いてから2戦目以降が始まります。長い歴史と伝統を持つメジャーリーグの開幕戦は、アメリカ国民にとって祝日のような特別なものだからです。
バラク・オバマ大統領も2010年のメジャー開幕戦で始球式を行なった その歴史を象徴しているのが、「トラディショナル・オープナー(伝統の開幕戦)」と呼ばれているオープニングゲームでしょう。これは、ナ・リーグ中地区に所属するシンシナティ・レッズの開幕戦カードを、他の試合よりもいち早く行なう恒例行事のことです。
1869年、レッズのルーツであるシンシナティ・レッドストッキングスが、アメリカ初のプロ野球チームとして産声を挙げました。それを讃えてレッズには、特権としてホームでの開幕戦が与えられているのです。レッズの開幕戦は他のどの試合よりも早く、プレイボールが宣告されます。「シンシナティからすべてが始まる」。メジャーリーグのすばらしい伝統行事だと思います。
40年以上前の1970年代、在日米軍向けのラジオ「極東放送(FEN)」を通して、日本でもシンシナティでの開幕戦を聞くことができました。当時、日本ではメジャーリーグの情報がほとんどなかったので、我々熱狂的なファンはFENが一番の情報源でした。FENのメジャーリーグ中継のテーマソングは、「Take Me Out to the Ball Game(私を野球に連れてって)」。あの曲がラジオから流れてくるのを、いつも楽しみにしていたのを思い出します。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)