日米野球で来日したメジャーの名選手たち (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Getty Images

 野茂の登場以後、メジャーの選手たちと日本人選手の距離がグッと近くなったように感じられた。1997年にボンズに取材を申し込んだ時のことだった。ボンズは前年に40本塁打、40盗塁を達成しており、そのことについて聞くつもりだったのだが……。

「どうせノモのことだろ。お断りだよ」

―― ノモ選手のことじゃないです。

「じゃああれだ、アラブ(おそらく伊良部秀輝)だろ。どっちにしてもお断りだよ。あなたたちはどうして日本人選手のことばかり聞きにくるんだ。もううんざりなんだよ」

 結局は取材を受けてくれることになったのだが、ボンズの方から熱い口調でこう話し始めたのである。

「去年の日米野球で、日本に素晴らしい選手がいたなぁ。名前はなんだっけ……そうだ、イチロー! オレはイチローのプレイを見るのが大好きなんだ。イチローも早くメジャーに来ればいいのになぁ。鳥かごのような環境の日本でプレイするのはもったいないよ」

 そのボンズは日米野球に協力的な選手で、4度来日している。そのたびに特大ホームランを放って、私たちを楽しませてくれたのだった。

 さて、今年のメジャーリーグ選抜メンバーだが、年俸約25億円のロビンソン・カノ(内野手/マリナーズ)、ア・リーグ首位打者のホセ・アルトゥーベ(内野手/アストロズ)、2012年ナ・リーグ新人王のプライス・ハーパー(外野手/ナショナルズ)など、豪華な顔ぶれが揃う。

 しかし、今年は過去の日米野球とは違い、日本チームは“侍ジャパン”となり、そこに見どころは多いはずだ。特に、前田健太(広島)と金子千尋(オリックス)は近い将来、メジャーでのプレイが噂されており、彼らにとっては絶好のアピールの場となる。

 そこで思い出すのが、2004年の日米野球だ。当時、西武のエースだった松坂大輔がメジャー打線相手に5安打、1失点の完投勝利。松坂の決意が見えた登板だった。

 はたして、今年の日米野球はどんなプレイを見せてくれるのだろうか。

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