青木宣親のロイヤルズは、「ミラクル」を起こせるか? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 一方、ロイヤルズがオリオールズに勝つためには、彼らの武器であるスピードを積極的に生かすべきでしょう。ポストシーズン4試合で、ロイヤルズは12個の盗塁を決め、失敗はわずか1個でした。また、ロイヤルズの武器は盗塁だけではありません。ポストシーズン4試合では、犠牲バント5個、犠牲フライ3個と、スピードと小技を絡めた「スモールベースボール」で次々と勝利をモノにしてきたのです。

 プレイオフでオリオールズの捕手を務めているニック・ハンドリー(打率.243・6本塁打・22打点)の盗塁阻止率は、わずか14%しかありません。2011年、2012年と2年続けてゴールドグラブ賞に輝いた正捕手のマット・ウィータース(打率.308・5本塁打・18打点)は今年5月のケガで今季絶望なため、盗塁阻止率40%を誇る控えのカレブ・ジョゼフ(打率.207・9本塁打・28打点)の出場機会が増えると思います。

 ロイヤルズが得意のスピードでオリオールズを翻弄することができれば、29年ぶりのリーグ優勝を果たすことができるでしょう。ワイルドカードゲームが設けられた過去2年で、その一発勝負をクリアしてワールドシリーズまで駒を進めたチームはもちろんありません。ロイヤルズはミラクルを起こすことができるのでしょうか。

 そして忘れてはいけないのが、青木選手の存在です。ポストシーズン開幕当初は調子を落としていましたが、ディビジョンシリーズ第3戦では3打数・3安打・1打点・2得点と大活躍し、ロイヤルズのリーグチャンピオンシップシリーズ進出に貢献しました。調子は上がってきたので、オリオールズ相手に大暴れしてほしいものです。

 果たして、ワールドシリーズに進出するのは、どちらのチームでしょうか。オリオールズが勝てば1983年以来、ロイヤルズが勝てば1985年以来となります。かつて日米野球でも来日したお馴染みのチーム同士の対決は必見です。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る