逆境をチャンスに変えられる岩隈久志の強さ (3ページ目)

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 ピッチャーの中には、すぐトレーニングの成果を求めてしまう選手がいます。ただ、走り込みやネットスローといったトレーニングはすぐに結果となって表れるわけではありません。その点、ウエイトは持ち上げる重量が増えれば筋肉が大きくなったんだと実感できるだろうし、体つきも変わっていくのがわかる。そこに喜びや満足感を持ってしまうのでしょうが、本当に大事なのはそこではありません。大事なのは、地味なトレーニングをどこまで持続できるかです。楽天時代のクマは、いくらトレーニングを積んでも結果が出ない時期がありました。それでも今やっていることを信じて、一心不乱に打ち込んでいました。

 その姿を見て、田中将大(ヤンキース)も少なからず影響を受けたと思います。クマは、人に「これをやるべきだ」と強要したり、苦言を呈したりする人間ではありません。とにかく、自分のやっていることを信じて、黙々と練習をやり続ける選手なんです。

 メジャーでは登板日でなくても試合終了まで残りますが、調整はほとんど一任されています。次の試合に向けて、自分で考えながらトレーニングするのですが、クマは日本にいる時からずっとひとりで考えて、調整を続けていました。だから、メジャーに行ってもすぐに対応することができ、今の成功があるのだと思います。

つづく


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