三十路ピッチャーが敏腕アスレチックスGMの手でついに開花 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by Getty Images

 すると、ローテーションに加わったチャベスは先発としての能力を一気に開花させ、4月は6試合に先発して2勝0敗・防御率1.89をマーク。38イニングを投げて41奪三振、被打率はわずか.199と、素晴らしい活躍を見せました。日本ではほとんど知られていませんが、アメリカではニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手と並ぶぐらい評価されています。

 5月24日現在、チャベスの成績は4勝2敗、ア・リーグ7位の防御率2.61。激戦区と言われているア・リーグ西地区で首位の座を守っているのは、まさにチャベスのおかげでしょう。「投げたいところに、いつでも投げられる」とボブ・メルビン監督が絶賛する抜群のコントロールと、キレのあるカット・ファスト・ボールがチャベスの持ち味です。年齢は今年8月で31歳――。他球団が誰も相手にしなかった三十路のピッチャーまでも再生させた、アスレチックスならではの成功例と言えるでしょう。

 また、アスレチックスと同じア・リーグ西地区のロサンゼルス・エンゼルスに所属するギャレット・リチャーズという右投手も、今年ブレイクしたニューカマーです。昨シーズン、エンゼルスの先発投手防御率4.30はメジャー30球団中22位。そこが今オフ最大の課題点と言われていました。エースは2012年に20勝5敗で最多勝に輝いたジェレッド・ウィーバー、2番手は昨年自己最多の17勝(7敗)を挙げたC.J.ウィルソン。しかし、それに続く3番手が定まっていなかったのです。

 そんな苦しいときに台頭してきたのが、チームNo.1豪腕投手のリチャーズでした。2009年にエンゼルスに入団して、2011年にメジャーデビュー。ただ、過去3年間は主にリリーフとして起用され、1試合平均の奪三振数は6.1個と、目に見張る数字は残せていませんでした。しかし今シーズン、先発ローテーションに加わると、現在9試合の登板で4勝1敗・防御率2.90をマーク。59イニングを投げて55奪三振と、見違えるようなピッチングを披露しているのです。いまやエンゼルス先発3本柱の一角を担う存在と言えるでしょう。

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