ア・リーグ新人王争い。田中将大のライバルはコイツだ! (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 ボガーツの魅力は、卓越した守備もさることながら、パワー溢れるバッティングです。現在、メジャーでのホームラン数は2本ですが、どちらも飛距離が驚異的。ともに140メートル級の特大ホームランを放っているのです。また、選球眼も優れているので、将来は主砲デビッド・オルティスの後継者として、レッドソックス不動の3番バッターになるでしょう。

 次に紹介したいバッターは、シカゴ・ホワイトソックスに所属するホセ・アブレイユという27歳の一塁手です。キューバのナショナルチームで活躍したアブレイユは昨年亡命し、同年10月に6年総額6400万ドル(約66億8000万円)でホワイトソックスと契約しました。今年メジャー1年目ですが、4月8日のコロラド・ロッキーズ戦と、4月10日のインディアンス戦で、いきなり1試合2本塁打を記録したのです。デビュー10試合で2度の1試合2本塁打は球団史上初の快挙。また、デビュー10試合で14打点は、1983年のロン・キトルという選手以来となる記録です。早くもチームの4番に座り、高額契約に見合うだけの活躍を披露しています。

 1950年代、「ゴーゴーソックス」の機動力野球の中心選手として活躍したミニー・ミノーソ以降、ホワイトソックスは次々とキューバ出身選手を輩出してきた伝統があります。今シーズンも先発メンバー9人のうち4人がキューバ出身選手で話題になりました。他チームでも、2012年にア・リーグ新人王投票で2位となったヨエニス・セスペデス(オークランド・アスレチックス)や、2013年のデビュー直後に月間MVPに輝いたヤシエル・プイグ(ドジャース)のように、近年は毎年キューバ出身選手が大暴れしています。今シーズンはホワイトソックスのアブレイユが大旋風を巻き起こすのではないでしょうか。

 そして最後にピックアップしたいルーキーは、アストロズに所属するジョージ・スプリンガーという24歳の外野手です。2011年のドラフト1巡目全体11位でアストロズに入団したスプリンガーは、昨年、ダブルAとトリプルAを合わせて37本塁打・45盗塁をマークしました。スプリンガーはパワーとスピードを兼ね備えた、守備にも定評のある万能型プレイヤーなのです。

 今シーズンはマイナーで開幕を迎えましたが、4月16日に早くもメジャーに昇格。最初は2番・ライトを任されていましたが、デビュー3試合目でチームの4番に抜擢されました。近年低迷を続けているアストロズの救世主として注目を集めており、ボー・ポーター監督は、「トリー・ハンターを彷彿させる選手」と大絶賛しています。トリー・ハンター(デトロイト・タイガース)とは、メジャーで9年連続ゴールドグラブ賞を受賞し、通算300本以上のホームランを記録している現役のスター外野手です。ただ、ハンター本人は、「スプリンガーはもっとすごい選手になる」と語り、比較対象として、カービー・パケット(1984年~1995年/ミネソタ・ツインズ)や、ポール・モリター(1978年~1998年/ブルワーズなど)、デーブ・ウィンフィールド(1973年~1995年/ヤンキースなど)といった殿堂入り外野手を挙げています。そんな偉大な選手の名が挙がるぐらい、スプリンガーは将来を嘱望されているのです。

 昨年からプレイしている選手もいますが、全員、新人王の資格を有しています。5人とも今年の新人王争いに顔を出してくると思いますので、ぜひとも彼らの名前を覚えておいてください。

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