悪の帝国を蘇らせた、田中将大獲得の2つのメリット
「悪の帝国が蘇(よみがえ)った」
ロサンゼルス・ドジャース、シカゴ・カブス、アリゾナ・ダイヤモンドバックスとの激しい争奪戦を繰り広げたニューヨーク・ヤンキースが、7年総額1億5500万(約161億4000万円)ドルの巨額マネーを投じ田中将大との契約に成功すると、米メディアの多くが上記の言葉を用いてヤンキースの勝利を伝えた。
移籍先がヤンキースに決まり、「世界一が目標」と力強く語った田中将大。
かつては金満球団の名を欲しいままにしてきたヤンキースだが、ブライアン・キャッシュマンGMは近年、「我々にも予算がある」と、らしからぬ言葉を並べてきた。事実、2008年オフにC.C.サバシア、マーク・テシェイラ、A.J.バーネットの補強に4億2350万ドルを投じてからは、FAで選手を獲得したのは2011年オフの黒田博樹ぐらい。
それがこのオフは、捕手のブライアン・マッキャン(元アトランタ・ブレーブス)の獲得に始まり、ジャコビー・エルズベリー(元ボストン・レッドソックス)、カルロス・ベルトラン(元セントルイス・カージナルス)の両外野手に加え、田中争奪戦までに使った総額は、2008年を上回る4億3800万ドル。5年ぶりに財力を駆使したヤンキースらしい大補強を敢行した。
今シーズンを迎えるにあたり、ヤンキースには一大目標があった。それは、年俸総額を1億8900万ドル(約196億円)に抑え、11年連続で支払っているぜいたく税にストップをかけること。だが、結局は"元の木阿弥"となってしまった。
田中の獲得を終えた時点で年俸総額は1億9300万ドル(約201億円)を超え、さらにキャッシュマンGMは、「内野手とブルペンの補強も必要だと思っている」と話し、レッドソックスからFAとなった内野手のスティーブン・ドリューにも目を向けている。
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