青木宣親と「ブルワーズ伝説の1番バッター」との類似点 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 また、青木選手が1番バッターとして高く評価されている要因は、第1打席での出塁率の高さでしょう。今シーズン、青木選手の第1打席での出塁率は.426。これはリーグ2位の成績です。1番バッターは、「初回の打席でどれだけ出塁できるか」によって大きく評価が分かれます。ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーターの評価が高いのも、同じ理由です。今シーズンのブルワーズは、初回に得点を奪っている試合が実に多い。これに青木選手が関係しているのは間違いないでしょう。いまや青木選手は、リーグを代表する1番バッターといっても過言ではありません。

 そんな青木選手の活躍を見ていると、ブルワーズの「伝説的な1番バッター」を思い出します。その人物とは、1980年代のブルワーズ黄金時代を支えたポール・モリターです。1977年のドラフト1巡目全体3位でブルワーズに入団したモリターは、翌1978年にメジャーデビュー。ブルワーズでは15年間、「不動の1番バッター」としてプレイし、メジャー21年間の現役生活で数々の大記録を残しました。歴代8位の3319安打、歴代11位タイの605二塁打、当時の数字としては特筆に価する114三塁打、そして大台超えの504盗塁......。まさに「パワーとスピード」を兼ね備えたバッターで、1999年には背番号4が永久欠番となり、2004年には殿堂入りを果たしています。

 あまり注目されていませんが、昨シーズン、ブルワーズ打線は素晴らしい成績を残しました。ホームラン数(202本)、盗塁数(158個)ともにリーグトップをマークしたのです。今シーズンも52本塁打はリーグ4位、38盗塁はリーグ2位を記録しています。1番の青木選手が打率.307(リーグ14位)・6盗塁(同15位)、2番のジーン・セグラが打率.347(同2位)・14盗塁(同2位タイ)、3番のライアン・ブラウンが打率.310(同11位)、5番のカルロス・ゴメスが打率.331(同5位)・9盗塁(同7位タイ)。3割バッターと俊足ランナーがずらりと並ぶ今のブルワーズは、「パワーとスピード」を兼ね備えた非常に魅力的な打線と言えるでしょう。

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