2013.05.23

岩隈久志がダルビッシュ有より勝っている点

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

開幕から先発ローテーション入りし、好成績を残しているマリナーズの岩隈久志 メジャー2年目の岩隈久志投手(シアトル・マリナーズ)が、今シーズン大健闘しています。現在、10試合に先発して5勝1敗。防御率2.37はリーグ5位、被安打率.194も同5位、そしてWHIP(※)0.87はリーグトップの数字を残しています。そして何より目に付いたのが、1イニングあたりの球数です。今シーズン、岩隈投手が1イニングに投じた球数の平均は14.15個。これは現在リーグ2位の記録で、実は平均14球前後という球数は、メジャーでも非常に少ない数値なのです。そこで今回は、あまり日の目に当たることの少ない「球数」について紹介したいと思います。

(※)WHIPとは、被安打数と与四球数(与死球数は含まない)を投球回数で割った数値で、1イニングあたり何人の走者を出したかを表わす。一般に先発投手であれば、1.00未満なら球界を代表するエースとされ、1.20未満ならエース級と言われている。

 先発投手に球数制限を課している現在のメジャーでは、ピッチャーは1イニングを15球程度に抑えて投げるのが理想とされています。しかし、ひとりでもランナーを出してしまうと、1イニングで20~30球になることもしばしば。球数が増えてしまえば、交代させられるイニングも早くなってしまいます。よって、いかに球数を抑えて長いイニングを投げられるかが、一流ピッチャーの証とも言えるのです。

 豪腕で相手をねじ伏せるダルビッシュ有投手(テキサス・レンジャーズ)とは対照的に、岩隈投手はバッターのタイミングをずらしてアウトを稼ぐ技巧派ピッチャーだと評されています。特に日本では、ボールを低めに投げてゴロで討ち取るグラウンドボールピッチャーだと報じられているので、そのようなイメージが強いのでしょう。しかし今シーズンの岩隈投手を見ていると、そのイメージとは少し異なります。実は今シーズンの岩隈投手は、非常に攻撃的なピッチングをしているのです。初球からどんどんストライクを取り、ツーストライクに追い込むと、一球も遊ぶことなく真っ向勝負。岩隈投手は、まさに「アメリカっぽい」ピッチングを披露しています。現在64イニング3分の2を投げて61奪三振はリーグ9位タイ。勝負どころで決め球のスプリットを投げ、多くの三振を奪っているのです。