【MLB】藤川球児の本拠地リグレーフィールドは、甲子園と瓜ふたつ (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 一方、現在の戦力について見てみると、投打ともに低迷している感は否めません。特に今年のリリーフ投手陣のチーム成績は、防御率4.49(ナ・リーグ13位)、28セーブ(メジャー最下位)、56被本塁打(ナ・リーグで2番目に多い)、フォアボール259個(メジャー最多)と、散々な出来でした。また、クローザーを務めているドミニカ出身のカルロス・マーモルも、55イニング3分の1を投げて45個のフォアボールを与えるなど、制球に難があります。

 それとは対照的に藤川投手は、日本とメジャーの違いはあれど、防御率1.32で24セーブをマークし、47イニング3分の2を投げて、打たれたホームランはたった1本。そしてフォアボールも、わずか15個でした。『火の玉ストレート』と呼ばれる速球派投手にしては非常に制球も良く、ピッチングも安定しています。カブスは来シーズンの新たな守護神として、藤川投手に大きな期待を寄せていることでしょう。

 今でこそ優秀な人材を欠いているものの、かつてのカブスには球史に残る素晴らしいクローザーたちがいました。まず、取り上げるべき守護神は『元祖スプリッター』と呼ばれたブルース・スーターです。1976年、魔球『SFF(スプリットフィンガード・ファストボール)』を武器に彗星のごとく現れ、1977年から4年連続でオールスターに選出。そして1979年、1980年と2年連続でセーブ王に輝いた名選手です。スーターはカブスに5年間在籍し、その後、セントルイス・カージナルスに移籍して1982年の世界一にも貢献。メジャー12年間で通算300セーブをマークし、2006年には野球殿堂入りも果たしています。

 スーターの時代はまだ、『クローザー』という言葉が存在しませんでした。以前は『リリーフエース』や『ファイアマン』と呼ばれており、2~3イニング投げるのも当たり前だったのです。しかし、SFFの影響でひじに故障を抱えていたスーターが、『1イニング限定』での登板を始めました。それを境に、クローザーという新たな分業制が確立したのです。スーターこそ、今日のクローザーというポジションを築いた『初代守護神』と言えるでしょう。

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