2012.05.25

【MLB】川崎宗則のルーティン。代打・代走・第3捕手の忙しすぎる1日

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

川崎の野球に対する姿勢に、首脳陣も「真のプロフェッショナル」と絶賛する 試合開始およそ4時間前。誰もいないセーフコ・フィールド。練習用のユニフォームに身を包み、ベンチ前で一礼して川崎宗則が勢いよくフィールドに飛び出していく。ダッシュ、ストレッチを入念に繰り返し、玉のような汗を流しながらクラブハウスへ引き上げていく。これが川崎の一日の始まりだ。

 クラブハウス。川崎のロッカーは憧れの人、イチローの左隣だ。普段は他を寄せ付けない雰囲気のイチローだが、川崎との間にはいつもリラックスした空気が流れている。分かち合える者同士。厳しい戦いの場に身を置くふたりにとって、クラブハウスはまさに憩いの場となっている。

「俺、補欠だから」

 5月中旬のボストン遠征で松坂大輔と会った際にふと漏らした川崎の言葉。しかし、川崎に悲壮感などない。スタメンに名を連ねる時も、そうでない時も、ひとりのプレイヤーとしてやるべき準備は変わらない。いや、もしかしたらスタメンよりも控えの時の方が、その準備に抜かりがないのかもしれない。

 試合前のチーム練習。川崎のキャッチボール相手はいつもイチローだ。そしてイチローがバッティングケージに入ると、川崎の守備練習が始まる。

「ヘイ! オヤジ! よろしくお願いします」

 帽子を取り、右手を上げ、トンプソンコーチにあいさつをしてから、ノックが始まる。ショート、セカンド、サードと一通りの練習が終わると、「オヤジ! ありがとうございました」と声をかけ、帽子を取って深々と一礼をする。すると、オヤジことトンプソンコーチも一礼し、頭を下げる。川崎が定着させたふたりだけの儀式だ。