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【夏の甲子園2026】「よくやった」で終わらせていいのか? "野球王国・愛媛"が5年連続初戦敗退... 人材はいるのになぜ勝てない (3ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Tomohiro Motonaga

 春の選抜には5大会連続で出場できず、夏の甲子園では初戦5連敗。その厳しい現実を冷静に見つめ、愛媛の高校野球界全体で強化に取り組む時期に来ているのではないか。

 同じ四国から徳島代表として甲子園に乗り込んだ鳴門渦潮は、1回戦で八王子実践(西東京)にサヨナラ勝ち。2回戦では霞ケ浦(茨城)に1対5で敗れたものの、最後まで粘り強く食らいついた。

 鳴門第一(現・鳴門渦潮)、城南、鳴門渦潮と、3つの公立校を甲子園に導いた森恭仁監督は言う。

「甲子園は『あわよくば』ではどうにもなりません。やっぱり実力がないと。今回は、旋風を起こすほどの力はなかったと思います。それでも、多くの観客の前で高校最後の試合を迎えられたのは、生徒たちが成長してくれたからです。甲子園で野球を見ることができて、采配を振るえたことには、感謝しかありません」

 2回戦で敗退したものの、鳴門渦潮が甲子園で挙げた1勝は、徳島県の高校球児たちにとって希望になるはずだと、森監督は言う。

「(徳島大会をノーシードから勝ち上がった)うちのようなチームが甲子園で勝てたことで、徳島大会で対戦した高校や、普段から練習試合をしているチームも、『俺たちでもやれるんじゃないか』と思えたんじゃないでしょうか。甲子園で1勝できたこと、そして霞ケ浦という強いチームと戦えたことが、いい効果をもたらすんじゃないかと思います」

 甲子園に出ることを目標にしていては、全国の頂点を本気で狙うチームには勝てない。とはいえ、初戦敗退が続く今の愛媛にとって、「日本一」だけを見据えても、その道筋はなかなか見えてこない。

 だからこそ、まずは甲子園で1勝すること。その1勝が「自分たちにもできる」という自信を県内に生み、次の世代へとつながっていく。鳴門渦潮が徳島にもたらしたような小さな希望を、愛媛もひとつずつ積み重ねていくしかない。

 かつての"野球王国"を懐かしむだけでは、強さは戻ってこない。再びそう呼ばれる日が来るとすれば、その始まりはきっと、甲子園でつかむひとつの勝利からなのだ。

著者プロフィール

  • 元永知宏

    元永知宏 (もとなが・ともひろ)

    1968年、愛媛県生まれ。 立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。 大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。著書に『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社)、『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)、『近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る』(集英社)など多数。2018年から愛媛新聞社が発行する愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(エッジ)の創刊編集長

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