【夏の甲子園2026】外野ノックもできない両翼40メートルの練習場 それでも英明が"攻める守備"を磨けた理由 (3ページ目)
英明を率いる香川純平監督 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る 選抜後は投手に専念している松本だが、慣れない二塁のポジションから野球を見ることで、学ぶことは多かったと語る。
「それまでは、ランナーの動きやリードの取り方をあまり意識したことがありませんでした。セカンドを守るようになって、いろいろなことに気づくようになり、視野が広がって野球がさらに楽しくなりました。たとえば、『バッターはこういうスイングをするから、この変化球のほうがいい』とか、『どこに投げれば抑えられるか』とか。そういうことを考えられるようになって、ピッチャーとしてマウンドに上がる時にも役立つことがたくさんありました」
この日、野手との連係でけん制を成功させた背景には、松本が二塁手として積んできた経験があったのだ。
【限られた環境で磨いた守備力】
松本のように、ひとつの経験を次のプレーへとつなげていく。その積み重ねこそが、英明の守備の強さを支えているのだ。
ただ、英明の練習場は両翼40メートルほどしかなく、外野ノックや中継プレーの練習を十分に行なうことができない。そうした環境のなかで、どのような意識で守備に取り組んでいるのか。
香川監督は「できることが限られているからこそ、一つひとつの練習に意味を持たせることを求めてきた」と語り、こう続けた。
「ミスが出ることもありますけど、それが続かないようにする。大事なのは、次にやるべきことにちゃんと目を向けることです。もし選手がそこに目を向けられていなかったら、こちらが向けさせるようにします。ピックオフプレーも同じで、『できることをやろう』と。それだけですね。うまい、ヘタとか、能力が高い、低いとかは関係ない。『できることをやる』ということです」
試合後、池田は次のように語った。
「今日は守備からリズムをつくれました。エラーで負けた試合を経験して、一球の重みを感じるようになりました。それからはミスに対して厳しい意識を持って練習に取り組んできたことで、粘り強く守れるようになったと思います。絶対に守備から崩れないように意識しています」
派手なプレーではなくても、一球にこだわり、できることを確実にやりきる。その積み重ねで築き上げた英明の守備力が、この夏、甲子園で確かな武器になっている。
著者プロフィール
元永知宏 (もとなが・ともひろ)
1968年、愛媛県生まれ。 立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。 大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。著書に『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社)、『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)、『近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る』(集英社)など多数。2018年から愛媛新聞社が発行する愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(エッジ)の創刊編集長
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