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【夏の甲子園2026】150キロ全盛時代に現れた"精密機械" 佐野日大・鈴木有が130キロ台の速球でも強豪を封じられるワケ (3ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Tomohiro Motonaga

【球速では張り合わない】

 横浜の織田翔希、聖隷クリストファーの高部陸など、150キロを超えるストレートを投げ込む投手に注目が集まるなか、鈴木は彼らと球速で張り合うつもりはない。

「もし球速を出せるなら、そうしたい気持ちもあります。でも、今の体ではそれほど速いストレートは投げられません。球速が出ないなかでも抑える方法を身につけることができているので、今のピッチングを続けていきたいです。変化球は、抜いたり引っかけたりする時にリリースの角度が少し違うんですけど、同じフォームで投げれば、だいたい同じコースに投げられます」

 鈴木の好投をリードで支えた佐野日大の捕手・須田凌央(りょお)は言う。

「鈴木さんは右バッターにも左バッターにも、効果的な変化球を持っています。だから、相手に狙いを絞らせなかったのかなと思います。ストレート、スライダー、カーブ、スプリットに加えて、左バッターにはチェンジアップ、右バッターにはカットボールをよく使います。本当にコントロールがよくて、構えたミットどおりのところに投げてくれます。三振を取りたい時にはしっかり腕を振って、ストライクからボールになるところに投げてくれます」

 150キロは出なくても、打者を抑えることはできる。甲子園で2試合続けて強豪を退けた鈴木は、「速さ」だけが投手の価値ではないことを、その右腕で鮮やかに証明している。

著者プロフィール

  • 元永知宏

    元永知宏 (もとなが・ともひろ)

    1968年、愛媛県生まれ。 立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。 大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。著書に『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社)、『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)、『近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る』(集英社)など多数。2018年から愛媛新聞社が発行する愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(エッジ)の創刊編集長

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