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【高校野球】阪神ドラフト1位の立石正広を輩出 高川学園はいかにして強豪校へと上り詰めたのか (2ページ目)

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

多々良学園から2006年に現校名の高川学園となった photo by Uchida Katsuharu多々良学園から2006年に現校名の高川学園となった photo by Uchida Katsuharuこの記事に関連する写真を見る「彼らにとってそういう偉大な先輩がいるということは励み、刺激になっているのではないでしょうか。立石に関しては、山口に帰った時によく後輩たちを指導してくれます。野球が好きで、控えの子らにも熱心に教えてくれるんです。本当にすごいなと思いますね」

【ブルペンでの投げ込みはなし】

 プロには多々良学園時代の高木豊(中央大→大洋ドラフト3位)を含め、これまで3人輩出。特に高川学園になってからは投手育成に定評があり、2020年に山野太一(ヤクルトドラフト2位)、翌2021年には椋木蓮(むくのき・れん/オリックスドラフト1位)と、ともに東北福祉大を経由して2年連続で上位指名を受けた。新チームでエースを務める最速146キロ右腕の木下瑛二(2年)は来秋のドラフト候補だ。

 投手指導を担当する西岡大輔部長は中学時代、硬式野球チームの「大阪泉北ボーイズ」で藤浪晋太郎(DeNA)と同期。平均的な体格だった左腕は、すでに身長190センチを超えていた怪物右腕のすごさを間近で感じながら3年間を過ごした。

「藤浪は中学時代から最速143キロとか、フォークとか投げていて、反則でした(笑)。中学1年の頃から知恵を絞り、彼にはないものでどう打者を抑えるかをずっと考えていました」

 その基本理念は高川学園から大阪体育大、そして母校の指導者になっても変わることはない。高川学園の投手はブルペンでの投げ込みはせず、フリー打撃や1カ所打撃などに登板し、対打者のなかで実戦感覚を養っていく。

「中学生や高校生がブルペンで投げていると、違う路線に走ってしまうことが多いです。たとえばブルペンでカーブが2球抜けて、3球目でやっとストライクが入ったとします。本人はようやくストライクが入ったことで感覚的に満足感を得るのですが、実戦でカーブが2球抜けた場合、3球目は違うボールを選択して打者を抑えにいかなければなりません。フォームを固める時なども、ブルペンではなくネットスローをやらせています」

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