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【ドラフト】「大阪桐蔭史上最高の素材」森陽樹に重なる達孝太と才木浩人 未完の190センチ右腕は伸びしろしかない (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

【未来像は達孝太と才木浩人】

 森を見るたびに、いつもふたりの投手が頭に浮かんでくる。同じ関西出身で、高校時代から見ている達孝太と才木浩人だ。それぞれ天理、須磨翔風のエースとして活躍した大型右腕で、達はドラフト1位で日本ハムへ、才木は3位で阪神に入団した。

 その後、3年、4年と育成の時を経て、いまに至る。このふたりにつながるライン上に、森の姿が重なって見える。

 ストレートの最速は153キロ。回転数はNPBトップランクの才木に並ぶ2700回転。ただ1年秋のあまりにも鮮やかな姿を見た者からすると、その後の投球はやや物足りなく映った。

 2年春の選抜2回戦(神村学園戦)で甲子園デビュー。先発して4回1失点の内容だったが、本調子ではなかったと見ている。後日、右ヒジの違和感が判明した。

 そして、ヒジへの負担を減らす目的でテイクバックをコンパクトに修正して挑んだ2年夏。「ひとりで投げきったし、3年間で一番よかった」と振り返った大阪大会決勝での東海大仰星戦、森は1失点完投、15奪三振の快投でチームを甲子園へと導いた。

 この試合で自己最速の153キロを記録。縦回転の体の使い方から、ヒジをしっかり上げ、右腕を真上から振り下ろすようなリリース。いかにも高速回転の効いたストレートは、大型投手でありながら左右のブレが少なく、制球で苦しむことも稀だ。

 ホップ成分に影響する「回転効率」は、まだ成長の余地を残すが、この先のステージでもおそらく代名詞となるのがストレートである。ボールの握りにもひと工夫ある。森が解説する。

「真っすぐは人差し指と中指の間を狭くして、親指をしっかり曲げて握る。高校に入ってこの握りにしてからスピン量が上がった感じがします」

【最後の夏は決勝で涙】

 大きな期待を抱いた2年夏の甲子園だが、2回戦(小松大谷戦)で先発し7回2失点(自責点0)と実力の片鱗は見せた。だが、見る者を圧倒するようなボールではなかった。

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