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幻に終わった「5季連続甲子園出場」と「松井秀喜超え」 内山壮真が語った失われた夏 (4ページ目)

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki

 一般的に、バットに乗せる感覚が必要な軟式球より、当てるだけで飛んでくれる硬球のほうが容易とはよく聞くが、それにしても入学直後から強豪の主軸に座るのだから、やはりナミじゃない。そして、高校時代には印象的な経験があるという。

「奥川さんが2年生の時、U18の高校ジャパンに選ばれたんですが、そのメンバーだった根尾(昂/現・中日)さんと電話で話させてもらったんです。根尾さんはその年に春夏連覇した大阪桐蔭の中心選手で、技術や練習の取り組みまで、すごく詳しく話してもらいました。また奥川さんからも、高校ジャパンの選手たちが日常、どれだけ高い意識を持っているかを聞いたのが大きな刺激で、そこから野球に対する取り組みが変わりました」

 実際にその根尾、身近では奥川や山瀬がプロ入りするのだから、早くからそこに目標を置いていた内山にとって、またとないお手本だったに違いない。動画サイトなども熱心にチェックするという内山は、技術論になると目を輝かせる。

【キャリアハイ更新と初の規定打席到達】

 例の、難易度の高い星稜式フォームについては、こう語っていた。

「左足を上げるのは、高校で先輩方を見てからです。それまではふつうに足をついていたんですが、2学年上の竹谷(理央)さん(現・セガサミー)、南保(良太郎)さん(現・明治安田)が足を上げて打っていて、真似てみたらすごく感じがよかったんです。練習からずっと木のバットを使っているので、ちゃんと芯に当たり、ちゃんとスイングしないとボールが飛んでくれません。その感覚は、なんとなくつかんでいます」

 プロでの対応については、こんなことも話してくれた。

「奥川さんが高校生の時に、何回かキャッチャーとしてボールを受けたことがあるんです。ほかのピッチャーとは、球の質が全然違っていました。プロでは、その奥川さんよりワンランク上の投手と対戦するわけですから、もっとスイングスピードを上げないと、スピード感についていけないと思います」

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