ヒロド歩美が見てきた「甲子園の涙と笑顔」の舞台裏 勝者も敗者も控え部員も取材するわけ (3ページ目)
【"ヒーロー"の物語を次世代に伝える】
今夏の神奈川大会の開会式で、慶應義塾の山田望意主将(3年)が「お互いのチームの好プレーに対して拍手や歓声を送り、称え合うことをしませんか」と選手宣誓で呼びかけ、すばらしいと話題になりました。
じつは最近、高校野球の歴史の本を読んでいて、第1回大会の決勝で、優勝した京都二中(現・鳥羽)に対して、準優勝だった秋田中(現・秋田)の選手たちが「京都軍バンザイ」と叫んで相手を称えた、という記述を見つけたんです。100年以上も前から、高校野球には相手をリスペクトする美しい文化が受け継がれているんだと知って、感動しました。
今、私が取り組みたいと思っている新しいプロジェクトがあります。それは、甲子園で活躍したけれど、今は野球以外の人生を歩む「元・甲子園球児」たちに、「甲子園から何を学んだか」を聞く企画です。プロに行った選手たちは、甲子園が原点だと語ることが多い。でも、たとえば会社員になった人たちにとって、あの夏はどんな意味を持っていたんだろう。彼らにとって甲子園は何を与えてくれたんだろう、と。
これも野球振興プロジェクト「球心会」の設立記者会見での取材で王貞治さんや栗山英樹さんとお話ししたことで芽生えた視点かもしれません。その答えを聞けるのを、今から楽しみにしています。
少年野球をしている子どもたちにとって、甲子園でプレーするお兄さんたちは、まさにヒーローです。野球人口の減少が叫ばれるなかで、私たちが彼らのひたむきな姿や、その裏にあるさまざまな物語を伝えることで、「お兄ちゃんたち、かっこいいな」「野球っていいな」と思ってもらえたら。それが、私が大好きな高校野球にできる、一番の恩返しなのかなと思っています。
終わり
<プロフィール>
ヒロド歩美 ひろど・あゆみ/1991年10月25日生まれ。兵庫県宝塚市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、2014年に朝日放送テレビ(ABCテレビ)入社。2016年に『熱闘甲子園』のキャスターに就任。その後は『サンデーLIVE!!』『芸能界常識チェック!〜トリニクって何の肉!?〜』『芸能人格付けチェック』などに出演。2023年からフリーとなり、現在まで『報道ステーション』のスポーツキャスターを務めている。
著者プロフィール
堤 美佳子 (つつみ・みかこ)
ライター・編集者・記者。1993年、愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。ビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。学生時代は埼玉西武ライオンズ一筋で、現在はラグビー観戦にハマりつつある。
フォトギャラリーを見る
3 / 3