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ヒロド歩美があらためて思う甲子園の魅力と野球人口減少に抱く思い 「入口は推し活でもいい」 (3ページ目)

  • 堤 美佳子●構成 text by Tsutsumi Mikako
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【無名校からもスターは生まれる】

 王さんがおっしゃっていた「ヒーローをどんどん増やしていかないと野球人口は増えていかない」という言葉は、まさにそのとおりだと思います。かつての斎藤佑樹さん(元日本ハム)と田中将大投手(巨人)のように、誰もが知るスターが生まれると野球界全体が盛り上がる。「ハンカチ王子」「マー君」「金農旋風」といったキャッチーなワードが生まれると、関心はさらに広がります。

 それに、夢があるなと思うのが、必ずしも誰もが知る超強豪校の出身でなくても、スターは生まれるということ。今やメジャーで大活躍している山本由伸投手(ドジャース)も、出身の都城(宮崎)は、熱心な高校野球ファンでなければピンとこないかもしれません。

 昨年のドラフト1位だった金丸夢斗投手(中日)は神港橘(兵庫)、中村優斗投手(ヤクルト)は諫早農業(長崎)の出身です。決して甲子園常連校とは言えない場所からでも、努力次第で日本のトップ選手になれる。そういう姿は、全国の子どもたちに大きな夢を与えてくれます。私たちメディアも、そういうヒーローたちの物語を伝えていくというミッションを担っているんだと、あらためて感じています。

 だから私は、夏の大会が始まる前に「優勝候補」という言葉をなるべく使わないようにしています。「春はあれだけ調子がよかったのに」というチームが、あっさり負けてしまうこともある。それが夏の大会の怖さであり、見どころのひとつでもあるんです。

 もちろん、注目しているチームはあります。今春のセンバツで優勝した横浜(神奈川)は、松坂大輔さんを擁した1998年以来の春夏連覇という大きなトピックがありますし、取材をしていると、神奈川県内の高校だけでなく他県の高校まで「打倒、横浜」を掲げて練習しているんです。そこまで意識させる横浜もすごいですし、その目標の立て方もすごい。それだけ大きな存在だということですよね。

 低反発バットに変わって、豪快なホームランは減りました。その分、緻密な戦略や堅い守備が光るようになり、新たな面白さが生まれています。スター選手の華やかなプレー、無名の公立校の下剋上、地域を背負って戦う物語、そして「最後の夏」に懸ける球児たちのひたむきな姿。グラウンドのどこを見ても、たくさんのドラマが詰まっている。だからこそ高校野球は、私たちの心をつかんで離さないのだと思います。

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後編につづく

<プロフィール>
ヒロド歩美 ひろど・あゆみ/1991年10月25日生まれ。兵庫県宝塚市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、2014年に朝日放送テレビ(ABCテレビ)入社。2016年に『熱闘甲子園』のキャスターに就任。その後は『サンデーLIVE!!』『芸能界常識チェック!〜トリニクって何の肉!?〜』『芸能人格付けチェック』などに出演。2023年からフリーとなり、現在まで『報道ステーション』のスポーツキャスターを務めている。

著者プロフィール

  • 堤 美佳子

    堤 美佳子 (つつみ・みかこ)

    ライター・編集者・記者。1993年、愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。ビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。学生時代は埼玉西武ライオンズ一筋で、現在はラグビー観戦にハマりつつある。

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