検索

ヒロド歩美があらためて思う甲子園の魅力と野球人口減少に抱く思い 「入口は推し活でもいい」 (2ページ目)

  • 堤 美佳子●構成 text by Tsutsumi Mikako
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【甲子園は多様な「フック」が魅力】

 なぜ高校野球は、プロ野球やメジャーリーグをあまり見ない人でも夢中になるんでしょう。その理由のひとつは、"フック"がたくさんあるからだと思います。自分の地元の学校が出場する地域性だったり、遠い親戚や友人の子どもが出ていたり。そういう小さなつながりから試合を見始めて、球児たちの全力プレーに心を動かされて、また次も見てみよう、とファンになっていく。母校が出場すれば、なおさらですよね。

 世代によっても刺さるポイントが違うかもしれません。たとえば、2018年の金足農業(秋田)の"金農旋風"。エースだった吉田輝星投手(オリックス)の弟の吉田大輝選手が、昨年、そして今夏もエースとして甲子園に戻ってきました。兄弟の物語って、私と同世代の女性の方はとくにぐっと心に来ませんか?

 おじいさん、おばあさん世代にとっては、自分の孫みたいな感覚で、地域の若者がハキハキと頑張っている姿を見るだけでうれしくなったり、次の世代はまだこんなに元気なんだと安心したりする。そういう側面もあると思います。

 だから、入り口は何でもいいと思うんです。最近の言葉でいう「推し活」のひとつとして捉えてもいい。ミーハーな気持ちで「あの学校のユニホーム、かっこいいよね」とか、「応援歌が好き」とか、そういう理由で全然いい。そうやっていろんな方が興味を持つきっかけがたくさん転がっているのが、高校野球の面白さですよね。

この記事に関連する写真を見る

 プロ野球と何が違うかといえば、やはり「最後の夏」という、一度きりのはかなさ。そして、どんな場面でも全力で走り、一生懸命にプレーするところが、理屈抜きに人の心を惹きつけるのではないでしょうか。もちろん、プロ野球選手が全力でないという意味ではまったくないのですが、143試合という長いシーズンを戦うプロとはまた違う、一球一打にすべてをかける姿がそこにはあります。部活動の全国大会で、これだけ多くの人が熱狂する。100年以上も続いているその熱量は、本当に果てしないものだと感じます。

 ただひたむきなだけでなく、競技としてのレベルも年々アップデートされていますよね。強豪校が取り組むノーサイン野球だったり、グラウンド環境が恵まれていない学校がどうやってそのハンデを乗り越えるか工夫を凝らしたり。地方が元気をなくしていると言われる時代だからこそ、いろんな地域で高校生がスポーツに打ち込む姿は、その土地に住む人たちにとっても希望の光です。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る