【高校野球】近江の新監督・小森博之は「県勢初の日本一」と「中学生に魅力を感じてもらえるチームづくり」を目指す (3ページ目)
だが、いざ県大会が始まると、ある葛藤が生まれた。
「選手たちとの距離感と言うんですかね......いろいろと難しいことが多くて。コーチの頃は近い距離から選手にいろんなことを言っていましたが、監督になるとそうはいかない。だから、春の県大会では采配に迷いもありました」
特に難しかったのが、3年生の起用だったという。
「昨年の秋も下級生が多く試合に出ていましたが、春にはまた新たな下級生も加わりました。そんななか、3年生主体で臨むべきか、とても迷いました」
そんな時、多賀監督ならどう選手を起用していたのかを考えた。
「多賀先生は選手一人ひとりの人間性を把握し、そこに向き合っておられました。大会では、徹底的に3年生を起用するとか、逆に下級生に経験を積ませるために3年生を起用しないとか、"非情采配"もけっこうありました。自分はこの春、どちらに振り切るべきか迷いがありましたね」
そのうえ、昨年夏(2対9)、昨年秋(2対14)と2季連続でコールド負けを喫し、チームの状況は悪かった。それでもバトンを受けた以上、現実と向き合うしかなかった。
春の県大会は決勝に進出し、滋賀学園に0対8で敗れたが準優勝の結果をおさめ、夏のシード権を獲得。小森監督は言う。
「去年のことを考えれば、決勝まで勝ち上がったことは収穫。最低限の結果は残せました」
【少しずつ手応えをつかめてきた】
夏の大会を直前に控えた6月中旬。小森監督の表情はどことなく明るかった。
「6月中旬の練習試合あたりから、自分なりの采配の形ができてきて、いい試合が増えました。負けることもありますが、期待できる選手も徐々に現れ、楽しみが増えています。監督になってまだ数カ月で、課題は多いですが、春の県大会での苦悩と比べると落ち着いてきたと感じています。少しずつ手応えもつかめてきました」
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