【高校野球】「納豆、味噌汁は今もダメ」 幸福の科学学園のドミニカ人留学生が明かす日本生活の苦悩と希望 (3ページ目)
彼らの言う「エル・カンターレ」とは、幸福の科学の本尊を指す。
幸福の科学学園に限らず、日本にはさまざまな宗教団体が母体となる学校が存在する。それぞれの学校に信じるものがあり、救われる生徒がいる。エミールとユニオールもまた、そのひとりなのだろう。
なお、幸福の科学学園の外国人留学生は彼らだけではない。今月21日には1年生としてリカルド・ペレスが来日。父は2015年から2年間、中日でプレーしたリカルド・ナニータである。また、台湾から林軍成も加入予定。後藤克彦部長は「すごく意識が高い子で、いずれ投手として台頭するはずです」と評価する。
ただし、学校をあげて特別に野球部を強化しているわけではない。高校野球部の部員数は3学年合わせても20人に満たず、練習は18時30分には切り上げる。学校として学業最優先の方針であり、毎年のように東京大など名門大学への合格者を輩出している。野球部にも東大志望者がいるという。
エミールとユニオールのドミニカンバッテリーはNPBでのプレーを希望し、今秋のドラフト会議での指名を目指している。
「この春は(栃木大会)ベスト4まで行きたい。夏は甲子園まで行きたいです。わたしのパワーでチームを手伝います」(エミール)
「チームを勝たせて、甲子園に行って、日本のプロ野球でプレーしたいです」(ユニオール)
ふたりでケンカしながら、ドミニカから50時間もかけて来日した経緯がある。胸に秘めた強い覚悟と、日本で学んだ精神を武器に、彼らは高校最後のシーズンを戦っている。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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