【ドラフト2024】異色経歴・超無名150キロサイドスロー投手 佐藤友紀の「NPBへの思い」 (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu

 それでも言葉を選ばずに言うと、この2年間で確固たる成績は残せていない。昨年はわずか9試合の登板で、防御率は5.54。登板機会を求めて、シーズン途中は関西独立リーグの堺シュライクスへ移籍したほどだった。

 茨城に戻った今季も11試合の登板で防御率6.55。しかし、この成績には注釈をつけなければいけない。7月以降は8試合で1イニングずつを投げて1失点のみ。この期間のみに限れば防御率1.13と、人が変わったかのように好投を続けた。

【サイドハンド転向で大変身】

 この"確変"のきっかけは、投球フォームを変えたことだ。それまでのオーバーハンドからサイドハンドへ変えると、6月下旬の西武との練習試合で150キロを計測した。さらに、もともと武器であったスライダーもよりキレ味を増した。

 昨年まではストレートの球速にこだわりすぎるあまり制球が定まらず、今年に入ってもなかなか改善できずにいた。佐藤は「同じ失敗を繰り返してしまっていたので、何か思いきって変えなければと思いました」と、サイドハンド転向の経緯を語る。

 これが功を奏し、公式戦で戦うソフトバンク三軍や、BCリーグの打者たちを面白いようにねじ伏せるようになっていった。

 さらに佐藤自身が「今までやっていなかったトレーニングにしっかり取り組んだことが大きかったと思います」と振り返ったように、球団として大事にしている方針もハマった。

 茨城アストロプラネッツの色川冬馬GMが「ウチは年間通してフィジカルのトレーニングをしています。アスリートとして高みを目指すのは当然ですし、(独立リーグの)年間70試合ごときで体重や筋肉量を落とすとかあり得ないと思っているので」と語るように、シーズンを通した筋力強化が技術面の試行錯誤とともに、今の佐藤を形づくっていった。

 持ち味について、佐藤は次のように語る。

「あまりいないダイナミックなフォームから、力感なく速い球が投げられることだと思います。あと、スライダーの曲がりにも自信があります」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る