夏の甲子園の「熱盛」をヒロド歩美が振り返る 『熱闘甲子園』と吉田輝星の弟・大輝の物語 (2ページ目)

  • 石塚 隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【好守備で大いに沸いたスタンド】

ーータイブレークまでもつれ込んだ決勝戦。緊張感のあるいい試合でしたね。

 関東第一(東東京)は、神村学園(鹿児島)との準決勝や東海大相模(神奈川)との準々決勝でもそうでしたけど、守備がすごかったですね。関東第一を取材していると、自主トレで守備練習をしている選手が圧倒的に多かったんです。

 たとえばショートの市川歩くんとかもそうですけど、自分たちの生きる道はこれだと割りきって自主トレをしていたんです。ノリノリで『熱盛』プレーも連発でした。日ごろから自分で考えてやる大切さ、なおかつあの舞台で緊張せずに発揮できる精神力はすばらしいなって。

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ーー自主トレで何をすべきか、選手たちが自主的に考えてプレーを高めていたんですね。

 関東第一のひとつ上の代は、足を使うチームだったんですが、今年は守備に徹する選手が増えたようです。関東第一は全体練習の時間が少ないようで、自主トレで何をすべきか学生が自分たちで考え、それをベースにチームのカラーを監督が決めていくそうです。さすがでしたね。

ーー今年は低反発バットの影響もあってか、攻撃より守備での見せ場が増えたように思います。

 低反発バットに関しては、影響はほとんどないという学校と、多少はあるという学校があって意見は分かれていましたね。たしかに、守備が目立ったというのはあったかもしれません。京都国際は夏の甲子園では21年ぶりの「ホームラン0本で頂点」に立ち、話題になりました。大会全体を通してホームランは7本でした。

 印象的だったのは、例年ホームランが出ると沸いていたスタンドが、今年は守備で好プレーが出ると歓声が湧いていました。とくに関東第一と東海大相模の試合はすごかったですよ。甲子園全体がどよめきと歓声で揺れていました!

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