【夏の甲子園】鶴岡東のエースで4番・櫻井椿稀は「プロ野球選手」と「プロ野球審判」の両方を目指す (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 櫻井は苦笑を浮かべながら、こう答えた。

「小さい頃にプロ野球の試合を見に行っていて、『審判が格好いいな』と思っていて。大人に交じって審判講習会とか行っていました」

 ほかの記者たちも興味を持ったのか、矢継ぎ早に審判に関する質問が飛ぶ。

「好きな審判は?」という質問には、「青木昴(すばる)さんです。出身地(長野県)が同じで、ジャッジのやり方が格好いいので」という答え。「プロ野球選手もプロ野球審判もどちらも目指すのですか?」という質問には、「はい、どちらも目指したいです」という回答だった。

【ルールを知ることがプレーに生きた】

 もはや"通行手形"を得たも同然。私は心置きなく審判に関する質問を飛ばすことにした。

── 実際に高校野球の練習試合で審判を務めることもあるのですか?

櫻井 今はないです。

── 趣味が「野球の審判をすること」とありますが、プライベートでするのですか?

櫻井 中学時代はたまに紅白戦で審判をすることがありました。

── また審判をやりたいですか?

櫻井 夏の大会が終わったら、秋の新チームでできればやりたいですね。

── ルールを勉強することもあったのですか? また、それが生きたことはありますか?

櫻井 小さい頃に審判を好きになって、ルールを知ることで野球が上達することにつながればいいなと思って少し勉強しました。ボークの規定とか知ることができたので、プレーにも生きていると思います。

── 櫻井投手が投げている時、判定に納得がいかない審判にあたることもあると思います。そんな時、どう対処しますか?

櫻井 審判も人間なので、ストライク、ボールの判定は人それぞれ変わるものだと思っています。ピッチャーはそこを生かして投げれば打ち取れるので、その審判が(ストライクを)とってくれそうなところに投げることが大事だと考えています。

 念のために断っておくと、実際には私の質問の合間には別の記者の質問も挟まっている。あくまでも限られた時間ではあったが、櫻井が審判という仕事に魅力を感じていることは伝わってきた。

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