退路を断ち、23歳で独立リーグへ 最速158キロの速球を武器に廣澤優はドラフト上位指名を目指す (4ページ目)
開幕から先発ローテーションに入り、6月9日現在で7試合に登板。2勝2敗、防御率1.93(リーグ2位)。37回1/3を投げて与四球33と、相変わらず制球面に課題を残しつつも上々の滑り出しを見せている。
「先発投手として登板機会が格段に増えて、去年よりもレベルアップできている実感があります。1試合1試合のなかで実力が向上していると感じます」
NPBでの指導経験も長い弓岡敬二郎監督(元・オリックス)は、廣澤についてこう語る。
「高校時代から有名でしたし、持っているものは抜群ですよ。あとはコントロールだけ。コースを狙いすぎてしまう時もあって、試合によってよかったり、悪かったりしてしまう。でも、あれだけのボールがあれば、なんぼでも押していけると思うんですけどね。なんとか愛媛で成長してくれへんかな......と思っています」
廣澤は2001年生まれで、同世代には佐々木朗希(ロッテ)などNPBで活躍する選手も多い。体格的に近い佐々木は、廣澤にとってどんな存在なのか。今や別世界の人間なのか。そう尋ねると、廣澤は神妙にこう答えた。
「同世代で活躍しているので、追いつきたい思いはあります。いずれは追い越したいとも思っています。そのためには、まずその舞台に立つことを目標にしています」
目指すは「ドラフト上位指名」。廣澤優は退路を断ち、大きなストライドで一歩を踏み出した。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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