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常廣羽也斗&下村海翔を超える潜在能力 青学大2年・鈴木泰成は「2年後のドラフト1位」を目指し進化中 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 鈴木は言う。

「もちろん技術的なレベルの違いを感じたんですけど、実際にドラフト1位でプロに行く人を見て『このレベルに達していないと行けない』とわかりました。常廣さんはオンとオフの切り替えがすごくうまい人で、登板前はリラックスして談笑していても、いざ準備する段階で一気にスイッチが入る。自分をコントロールできる、大人だなと感じました。下村さんは普段はすごく優しい方なんですけど、勝負事になるととことん負けず嫌いで。自分も同じくらい負けず嫌いなので、刺激になりました」

【ストレートに迫力を出す】

 投手指導に定評がある中野真博コーチとの出会いも大きかった。中野コーチは1994年春のセンバツで金沢高のエースとして完全試合を達成した実績があり、青山学院大を経て社会人の東芝でも活躍した右腕だった。

 中野コーチは鈴木に対して、「まずはストレートに迫力を出そう」と求めた。高校時代に試合に勝ちたい思いが強いあまり、「丁寧にコントロールよく投げよう」と投球が小さくなっていた。上級生の投手層が厚く、1年生に早急な結果を求めなくてすむ環境も鈴木の進化を後押しした。

「この1年間、『躍動感を出す』ことを強く意識して取り組むなかで、ストレートを磨いていけました。大学に入って初めて150キロが出ましたし、意外と全力で腕を振ったほうがコントロールしやすいこともわかりました」

 正捕手の渡部が語ったように、フォークとスプリットの投げ分けにも自信がある。

「フォークは落差が大きいので、打者に意識されると打ち取れる確率が減ってしまうと思いました。そこでストレートと球速がそう変わらず、小さく動くボールがあるといいなとスプリットを投げ始めたんです。ストレートの感覚がいい分、スプリットの感覚もよくて打ち取る確率を高められたと感じます」

 常廣、下村らが卒業したといっても、青山学院大投手陣は今年もドラフト候補に挙がる児玉悠紀ら好投手が控えている。鈴木が着実にステップを踏んでいけば、今年も優勝争いに絡むはずだ。鈴木は今季への意気込みを語った。

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