高校野球の名将だが「生徒から抗議文」「チームは崩壊状態に」 蔦文也の孫・哲一朗が「じいちゃんの負の部分」を追いかけた理由 (2ページ目)

  • 藤井利香●取材・文 text by Fujii Rika

【試合では見せなかった繊細さ】

 映画には、畠山準さん、江上光治さん、水野雄仁さんら甲子園の優勝メンバーや、じいちゃんを支えてきたコーチ、部長先生ら池田の野球関係者、また地元の人や学生時代の友人など、30人以上の人々が登場します。

 そのうちのひとりとして、茶道裏千家の千玄室(15代千宗室)氏にも協力をいただきました。千氏は同志社大の同級生で、太平洋戦争の時に学徒出陣でともに海軍に配属され、最後はふたりとも特攻隊員になっています。

 じいちゃんが特攻を自ら志願したのかどうかは不明ですが、高校時代に徳島商のメンバーとして甲子園に出場しながら、数年後には野球どころではない厳しい現実と向き合っていた。そんな若き頃のじいちゃんの姿を伺い知ることができます。ちなみに、千氏は今年4月に100歳の誕生日を迎えられています。

 いろいろな人の話を通じて得たじいちゃんのイメージは豪快で自由奔放。それは報道されているとおりですが、案外、繊細な部分もあったと多くの人が証言しています。

 とくに試合で見せる姿とは大きく違って、日頃は計画的で緻密。失敗を嫌い、準備万端なタイプだったようです。

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