「戦国・東都」は2部も逸材だらけ。佐々木朗希世代の152キロ左腕にスカウトも大興奮 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

東洋大の3年生左腕・細野晴希東洋大の3年生左腕・細野晴希この記事に関連する写真を見る 最速152キロの空振りを奪える快速球に、スライダー、カットボール、スプリットを武器にする。4月16日の初戦(東京農業大戦)では4回二死までノーヒットピッチングを続けたものの、一塁ベースにゴロが当たる不運で初安打を許した。結局7回を投げ、13奪三振と圧巻の内容だった。

 今年に入って、細野のマウンド姿は明らかに変わった。投球フォームを大きくモデルチェンジしたのだ。

 昨年までの細野は右足を勢いつけて高々と蹴り上げる、ダイナミックなフォームだった。だが、今春の細野は静かに右足を上げ、力感のないフォームになっていた。その理由を尋ねると、細野はこう答えた。

「足を高く上げると疲れるので。リーグ戦で長いイニングを投げたり、連投したりすることを考えると厳しくなるなと。あとは少ない力でも球速が出るようになったので、この形になりました」

 細野の言う「少ない力でも球速が出るようになった」は大きなポイントだろう。打者からすれば、涼しげに左腕が振られたと思ったら、152キロものスピードボールが迫ってくるのだ。しかも、捕手に向かって加速するような体感の、上質のストレートである。変化球の精度も高く、その落ち着いたマウンド姿は「プロ即戦力」というより、すでにプロで何年も実績を挙げた投手のような貫禄がある。

 この日は細野が7回まで0点に封じた後、2年生右腕の一條力真(常総学院)を挟み、羽田野で締めくくる豪華投手リレーだった。一條も高校時代にプロ志望届を出していれば、上位指名濃厚だった好素材だ。189センチの高身長からしなやかに放たれるストレートは最速151キロをマーク。羽田野は「コースに投げ切れず、力を出し切れなかった」と本調子ではなかったものの、それでも最速152キロを計測。2部リーグというより、大学日本代表クラスの陣容だった。

東都リーグ3年生の逸材たち

 東洋大の杉本泰彦監督にあらためて3投手の可能性について聞くと、こんな答えが返ってきた。

「ポテンシャルはすごいものを持っています。我々は才能の世界で生きていますが、彼らはそこで生き抜く才能は持っています。あとはその才能をもっともっと高めていって、突き抜けていけるかだなと思います」

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