ドラフト候補の陰に隠れて快打連発。3、4年後のプロ入りに期待がかかる3人の好打者 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 プレーボール直後、帯広農の1番打者・西川健生(3年/三塁手/右投右打)のスイングに驚いた。風間の147キロのストレートを振り抜いた打球はセカンドの頭上を襲った。惜しくも捕られてしまったが、朝8時にあの快速球をジャストミートだ。結局、この試合は降雨ノーゲームとなったが、ドラフト1位候補を向こうにまわして、怯むどころか「さあ来い!」と凛々しく立ち向かう姿に感銘を受けた。

 再試合ではバッティングだけではなく、守備でも左打者の三塁線のファウルを正面に入って捕球した反応の鋭さ。三塁側カメラマン席に入りそうなファウルフライを足元に目をやりながらギリギリのタイミングで捕球した勘のよさ。三遊間に転がった緩いゴロをカットし、体勢を整えてスナップスローで送球できるボディバランスと柔軟性。

 プロスカウトの目にはまだまだ"不足"があるだろうが、大学の監督なら間違いなく4年かけて育ててみたくなる選手だろう。

 例年の夏に比べて投手戦が多かった印象がある今大会。三重と樟南(鹿児島)の試合も、緊張感みなぎる投手戦となった。そんななか気になった選手が、三重の6番の左バッター・品川侑生(3年/遊撃手/右投左打)だ。

 樟南の好左腕・西田恒河からレフト、ライト、センターへ3安打を放ち、ライトフライに倒れた打席でも、タイミングを外されながらも右手一本でフェンスまで持っていったから、「これはモノが違うぞ!」と思わず唸ってしまった。

 6番打者でこのバッティング......と思っていたら、じつは4月に右手首を骨折し、夏の県大会からカムバックしたという。昨年秋は4番を打って、プロ注目の遊撃手だった。

 とにかく品川のバッティングは"型"がすばらしい。下半身はしっかり踏み込んでも、グリップは肩口にあるから、ボールの動きを見極めてから振れる。ここまでしっかりグリップを残して打てるのは、自分のスイングスピードに自信を持っているからだ。

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