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偏差値72の福岡高校で最速149キロ。プロ注目の右腕は東大より狭き門を目指す (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 3回まで被安打1、奪三振3、与四死球2。味方のエラーで失った1失点とまずまずの投球を見せた井崎だったが、4回に落とし穴が待っていた。

 一死二塁からバント処理しようとした井崎は、一塁への悪送球を犯す。二塁ランナーが生還し、さらにヒットと守備陣のエラーが絡んでこの回3失点。自責点0ながら井崎はマウンドを降り、ライトに回った。試合は3対5で福岡高が敗れている。

「無駄なフォアボールやバント処理のミスから、自分の首を絞めてしまいました」

 試合後、井崎は肩を落として自分の投球を振り返った。

 指のかかりがよく、ボールが走っている実感はあった。だが、課題にしていた部分が出たと井崎は言う。

「ランナーが出てクイックになった時、ヒジが上がり切らずにそのまま投げて、制球が乱れてしまうんです」

 この日、井崎は筑陽学園に3盗塁を許している。クイックモーションのスピードが遅く、ランナーに走られてしまう。だが、現時点では体重移動にある程度時間をかけないと、右ヒジを上げ切れないのだ。右ヒジが上がり切らないまま投げるとボールが抜けやすくなり、ヒジへの負担も大きく故障の原因になりかねない。井崎は「夏までに修正していきたいです」と語った。

 気になる進路についてあらためて聞くと、やはり井崎は「プロ志望届を出したいと考えています」と言った。

 課題は多い。クイックモーション、フィールディング、変化球の精度、体に負担のかかりやすいフォーム。無理して今すぐプロを目指さなくても、大学で勉強しながら課題を克服しても遅くはない。そんな考え方もあるはずだ。

 それでも、現時点での井崎は高卒でのプロを本気で狙っている。どうして、そこまでしてプロになりたいのか。そう尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「高校に入るまでは進学を考えていたんです。でも、まだ身長は伸びているし、最近になって体重も増えてきました。これからもっと成長していければ、自分もやれると感じてきたんです」

 そして井崎は、付け加えるように「山下投手を見て、プロに進む選手が身近になってきたということもあります」と語った。

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