2021.04.16

ドラフトで史上3度目の珍事発生か。「ドラ1はすべて投手」の可能性

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 一方、高校生ナンバーワンスラッガーと評される阪口は、投手としても非凡さを発揮するが、やはり長距離砲としての魅力が勝っている。その長打力に加えて、バッティングの精度の高さは高校時代の村上宗隆(ヤクルト)クラスと見ている。

 日本で一番広いんじゃないかと思う岐阜の長良川スタジアムで、外野フライかなと思った打球が雄大な放物線を描き、そのままスタンドイン。さらにその後の打席で、今度はライトスタンド上方の屋根をライナー性の打球で超えていったのには、驚きを通り越してただただ笑うしかなかった。

 この2人については、これからの活躍で十分にドラフト1位候補になってくる存在である。しかし、そのあとの候補がいない。どこをどう探しても1位に相応しい選手が見当たらないのだ。どうして、これほど野手がいないのか。あるスカウトはこんな話をしてくれた。

「去年の春から夏、そして秋と......コロナ禍の影響で実戦の場が激減したことが大きいと思います。これは現場の監督さんたちもよく言っているのですが、ゲーム勘の部分で、あの半年間のブランクをなかなか取り戻せていないと」

 今年のドラフト候補になりうるレベルの選手にしても、半年間という長期間のブランクは痛かったという。前出のスカウトが言う。

「投手は走ったり、筋トレだけでなく、投げるのもネットスローとか、やろうと思えばひとりでも練習できますし、それなりにレベルアップができます。でも、バッターはそういうわけにはいかない。いくら素振りでスイングスピードが上がっても、実戦のバッティングというのはあくまで"緩急"の対応であって、そういう意味での"試合勘"がなかなか取り戻せないそうです」

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 そういえば......と、大学野球のリーグ戦を見ながら思うことがあった。

 タイミングは合っているのに、ファウルになったり、打ち損じする打者が多いのだ。それに読みが外れたのか、見逃し三振する打者もいる。スイングスピードが遅いとか、バットを振る体力がないというのとは少し違う。何かが微妙にズレているのだ。