進学校の120キロ左腕が華麗に成長しプロを目指す。可能性にフタをしない (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 片山は大学卒業後、社会人の強豪・Hondaでプレーすることが内定している。もう「プロになりたい」と言っても、笑われる心配はないだろう。片山は照れ笑いを浮かべながら、こう語った。

「高校時代は先生に言わされたというか......ぼや〜っとしてたんですけど、今は本当に(プロに)行きたいと思っています」

 コロナ禍に見舞われた今夏、消化不良で高校野球生活を終えた球児も少なくなかったはずだ。大学で野球を続けることは簡単なことではない。だが、チャレンジできる状況があるのであれば、一歩踏み出してみてはどうだろうか。

 日立一高の中山監督は、こうも語っている。

「高校生は『甲子園が野球の魅力のすべて』と決めつけている子も多くて、大学野球の魅力を知ることなく終わる子がほとんどです。大学野球は強豪校のエリートがやるものと、自分の可能性にフタをしてしまう子が本当に多いんです。ウチでは幸い、片山をはじめ大学野球で頑張っているOBがいるので、『オレたちもチャレンジしていいんだ』という文化が定着してきました。全国には、自分の可能性に気づけていない原石がたくさんいるんでしょうね」

 片山に限らず、20歳を過ぎて大人の体になってからパフォーマンスが飛躍的に向上する例はたくさんある。高校野球と比べると注目度は低いかもしれないが、大学野球にも希望は変わらずある。片山皓心のように、大学野球で花開く選手が全国各地から続々と出現する近未来を見てみたい。

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