2020.07.30

何から何まで狂ってしまった大学時代。
島袋洋奨はホークス戦力外を経て母校へ

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Matsunaga Takarin

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「甲子園の優勝投手はプロで大成しない」というジンクスは、今も野球界に根強く残っている。1980年以降でそのジンクスを打破した代表的な投手は、桑田真澄(PL学園→巨人)と松坂大輔(横浜→西武)だろう。

 2000年以降では、2005年夏に甲子園優勝投手となった田中将大(駒大苫小牧→楽天/現・ヤンキース)の活躍は言うまでもなく、2008年春のセンバツで優勝した東浜巨(沖縄尚学→ソフトバンク)は2017年最多勝に輝き、今シーズンを開幕投手として迎えた。

 近年では、2016年夏の優勝投手・今井達也(作新学院→西武)、2017年夏の優勝投手・清水達也(花咲徳栄→中日)が芽を出し始め、チームの若き原動力として期待を集めている。

 とはいえ、甲子園優勝投手が手放しにプロで活躍できるというわけではない。とくに大学を経由した投手にとっては、高い壁として立ちはだかっている。

今年4月、興南高校の職員になった島袋洋奨(写真右)と我喜屋優監督 今からちょうど10年前の夏、沖縄は異様な盛り上がりを見せていた。夏の甲子園で沖縄代表の興南が春夏連覇をかけて出場し、圧倒的な攻撃力に加え、”琉球トルネード”の異名をとったエース・島袋洋奨(元ソフトバンク)の力強いピッチングで、史上6校目の偉業を達成したのだ。

 連覇を達成した島袋の甲子園での成績はこうだ。

春:5試合(46イニング)/投球数689/被安打35/奪三振49/失点7/防御率1.17
夏:6試合(51イニング)/投球数783/被安打47/奪三振53/失点12/防御率1.94

 島袋のすごさは数字だけではない。ここぞという場面でギアを上げ、精密機械のような制球力で三振を奪う。誰もが島袋の未来は輝かしいものに見えた……。

 ところが、プロでは一軍の登板はわずか2試合のみで、ほとんどが二軍、三軍暮らし。昨年10月に戦力外通告を受け、5年間のプロ生活を終えた。