剛腕、実績ゼロ、野手から投手転向...セガサミー「高卒三本柱」が面白い (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 高校時代とは感覚が別物になっており、投球フォームは一から再構築した。だが、草海は恐るべきセンスで自分の投球感覚を見つけていく。夏場のオープン戦では早くも結果を残し、中心投手の仲間入りを果たした。

 そして昨年8月31日、日本選手権関東代表決定戦、草海はHondaとの初戦で先発投手という大役を任される。「先発は森井か飯田だと思っていた」という草海だが、それでも大きなチャンスに意気に感じてマウンドに立った。

 ところが、立ち上がりから制球に苦しみ、わずか2回で4失点を許して降板。チームは1対9とコールド負けを喫し、都市対抗に続き日本選手権の出場権も逃した。草海は「自分をコントロールしきれず、舞い上がってしまった」と振り返る。

 現在は雪辱に向けて、己の力を磨く日々を過ごしている。武器は投手としての総合力。最速145キロのキレのある速球に、多彩な変化球を駆使してプロ入りを狙っている。

 身体的にも能力的にも優れる森井や飯田に対して、草海は「正直言って、嫉妬はあります」と打ち明ける。

「でも、ピッチングを見て勉強になります。今は森井を見にスカウトが見に来てくれますけど、今に自分の力でスカウトを呼べるようにしていきたいです」

 3人ともユニホームを脱げば気の合う友人のように付き合い、時には草海の部屋に3人が集まってピザを食べることもあるという。

 今季からセガサミーの監督に就任した西田真二監督は、四国アイランドリーグ・香川オリーブガイナーズ監督時代に20人以上の教え子をNPBに送り込んだ名伯楽である。「もし森井、飯田、草海の3投手がドラフト指名を受けたら?」という質問に対して、西田監督は「そりゃあ、喜ばしいですよ!」と答えた。

「9月末からの都市対抗予選でアピールして本戦出場を決めて、10月のドラフトで指名されて、11月の都市対抗でひと花を咲かせる。それなら万々歳じゃないですか」

 セガサミーの高卒三本柱にとって、勝負の季節は間もなく訪れる。

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