済美出身ティモンディが語る「野球部あるある」。寮生活、上下関係、挫折など (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

前田 大学1、2年生の頃はそう思えなかったけどね。しばらくは甲子園を見るのもつらい時期があった。でも、いろんな経験を通して「野球に教えられた」ということに大人になって気づいていく。

高岸 高校生活3年間の全部が宝物ですから! あの時にいただいた愛媛全体からのパワーだったり、応援があるから、いま頑張れていると言い切れます。

――高岸さんの一語一語に力を込める独特の口調から、その思いが伝わってきます(笑)。

高岸 一番は「やれば出来る」という気持ちをみなさんの心にぶつけたいんです!

――僭越ながら、私もそんな思いを込めて『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない!』という本を書かせてもらったつもりです。いまだに野球留学生が「ガイジン部隊」と揶揄されてしまう風潮が残っているのも現実ですが、実際に留学を体験した人の話を聞くと「一生の仲間ができた」とか「留学先が第二の故郷になる」という話も聞きます。こうしたポジティブな面がより広まっていけば、野球留学生への厳しい見方も変わっていくのかなと感じます。

前田 僕にとって愛媛は縁もゆかりもない土地でしたけど、地元の保護者が面倒を見てくださったり、済美のバッグを持っているだけで全然知らない人から「頑張ってね!」と声をかけてくださったり、確実に励みになっていました。当時は甲子園しか頭にありませんでしたけど、気にかけてくれる地域の方々がいたから野球ができたんだと今になって感じます。僕のなかでは勝手に愛媛は故郷だと思っています。

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