東北の快速右腕は、先輩の巨人・高橋優貴越えもあくなき探究心を持つ (3ページ目)

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • photo by Nagata Ryotaro

 大道が選んだのは後者だった。そして大学進学にあたり、ひとつの目標を立てた。

「4年間で35勝!」

 ちなみに、八戸学院大が所属する北東北大学野球連盟の通算最多勝利記録は、岩手大の三浦翔太が記録した35勝だ。大学入学後、大道はその目標に向かって着実に実績を積み上げた。

1年春:7試合/2勝1敗/防御率1.84
1年秋:6試合/4勝1敗/防御率2.28
2年春:5試合/4勝1敗/防御率1.19
2年秋:8試合/4勝1敗/防御率1.95
3年春:6試合/2勝0敗/防御率2.84
3年秋:6試合/4勝1敗/防御率1.66

 気がつくと、通算勝利数は「20」を数え、昨年巨人にドラフト1位で入団した2学年先輩の高橋優貴の勝利数「17」を上回っていた。だが、大道に満足感はない。

「勝利数で高橋さんを抜いたと言っても、僕は150キロを出したことがない。1イニングを投げた時のポテンシャルは高橋さんのほうが上なので、僕は平均的に毎年数字を残していかないと上(プロ)はないと思っているんです。だからもっと気を引き締めないとダメだと思っていますし、そのための準備をしています」

 昨年6月に開催された全日本大学野球選手権。大会が終わると、大道は新たなプランを立てた。

「夏の練習は、これまでで一番追い込みました。夏なのに体重を増やして。夏だけど、冬と思ってトレーニングに励みました」

 ウエイトトレーニングはメニューも回数も増やし、体重は全日本大学選手権の時から5キロ増えた。するとボールの威力も増し、秋のリーグ戦では自己最速の149キロをマーク。平均でも145キロ前後を投げられるようになった。

 もちろん、全日本大学選手権での苦い経験も大きい。佛教大戦では4回までに8個の三振を奪う快投を見せるも、7回以降は球速が落ち、9回には走者をためて交代。その後、チームは逆転負けを喫してしましった。

 その時に痛感したのは、1回から9回までを投げきれる体力と根性。夏のトレーニングでは、そこも頭に入れて取り組んだ。

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