2020.01.29

ロッテ種市の元ライバル・八戸学院大の
中道佑哉が屈辱を糧に急成長!

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 眉目秀麗(びもくしゅうれい)な青年は、涼しげな表情でその舞台に立っていた。

 2019年6月、全日本大学選手権大会。八戸学院大の中道佑哉は、9回裏、一死満塁の場面でマウンドに送り出された。対戦相手は佛教大。スコアは3対0で八戸学院大がリードしていた。

 中道にとっては人生初となる全国大会のマウンドだったが、不思議と緊張はなかった。最初の右打者を簡単に追い込むと、最後はアウトコースに141キロのストレートを決めて空振り三振。

昨年の全日本大学選手権で初の全国舞台を経験した八戸学院大の中道佑哉 ところが、勝利まであとひとり、あと1球となったところで急に何かが狂いだす。次のバッターの6球目、決めにいったストレートを三遊間に打ち返され1点を返されると、続くバッターには押し出しの四球を与えて1点差。なおも二死満塁、一打サヨナラ逆転の窮地に陥った。

 仲間に声をかけられ、一瞬緩んだ口元を再びギュッと締めなおす。二塁走者を一瞥し、気持ちを切り替えると、初球はストレートでファウルを奪い、自分のペースを取り戻したかに見えた。

 しかし、2球目。初球と同じストレートを弾き返され、打球は中道の足元を抜けていき、センター前に転がった。三塁走者が還りまず同点。二塁走者も三塁を回り、本塁を狙った。前進守備のセンターから返ってきたボールは、ワンバウンドでキャッチャーに収まった。タイミング的には誰が見てもアウトに見えたが、ホームベースを体で覆いかぶさる状態で捕球したため、球審はオブストラクション(走塁妨害)を宣告。なんとも呆気ない幕切れとなった。誰も予想しなかった結末に、試合後、中道は泣きじゃくった。

「あの時のことはあまり覚えていないです。試合が終わってから頭が真っ白になった感じで、周りがなんと声をかけてくれたのかも頭に入っていなくて……」