ひょんなことからNZでプロ野球選手になった25歳。NPB入りの夢を追う
ひょんなことからプロ野球選手になった男がいる。金子隆浩、25歳----。今年から四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスの捕手としてプレーしている。
大学では野球部に所属せず、卒業後、ワーキングホリデーでニュージーランドに渡り、オークランドのクラブチームでプレーしていた。そんな彼に転機が訪れたのは昨年の冬、ニュージーランド初のプロ野球チームであるオークランド・トゥアラタの創設だった。
今シーズンから高知ファイティングドッグスでプレーする金子隆浩 オーストラリアン・ベースボール・リーグ(ABL)に所属するこの新球団が、選手を募集すると聞き、金子はトライアウトを受けて見事合格したのだ。そして1シーズン(11~1月)野球留学に来ていたロッテの選手らともに過ごすことになった。
金子は大学野球の強豪・東海大学の付属校で甲子園を目指していた高校球児だった。当然、大学でもプレーするつもりでいたが、思わぬ落とし穴が待っていた。
付属校からの内部推薦というかたちで、東海大への進学を早々に決めた金子だったが、名門野球部の敷居は想像以上に高かった。体育会系のクラブとして、すべての学生に門戸を開いている大学もあるが、東海大野球部はセレクションを通過した者でないと高校野球経験者であっても入部できない。甲子園常連の付属校には野球部の推薦枠があるが、金子の高校は甲子園出場経験がなく、推薦枠がなかった。
そのことを合格後に知り、入学辞退の選択肢もないわけではなかったが、すでにあとの祭りだった。付属校からの内部推薦、しかも希望者の多かった体育学部に通してもらったこともあり、現実問題として入学をしたうえで、野球部をあきらめるしかなかった。
結局、金子は大学でトレーナーになるための勉強をしながら、硬式のクラブチームで野球を続けた。その後、順調に単位を取得して大学を卒業したものの、そのまま就職することにためらいを感じていた。そして、両親の微妙な反応を尻目に、金子はあてもなくニュージーランドへ旅立つ決心をした。
「基本、あとさき考えずにやるタイプなんです。不安は一切なかったですね。どうにか生きていけるだろうって(笑)」
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