悲劇じゃなく希望。スーパー小学生投手は
6年後に野手で甲子園に出た (5ページ目)
「負けましたけど、このチームでしか得られなかったものがありました。今までは自分のことしか考えられなかったのが、それだけじゃないことに気づけました。調子が悪かった時も、迷っている自分に周りの仲間が手を差しのべてくれました。ベンチ入りを逃したメンバーも、自分たちをサポートしてくれました。監督さんも部長の横山(博英)先生も、スタッフの方々も、厳しく愛情のこもった指導をしてくださいました。本当に聖光学院に来てよかったです」
悲劇のヒーローの姿はそこにはなかった。高校で選手としての野球人生を燃焼し、新たな希望に燃える若者がそこにはいた。
また、どこかで会おう。そう言うと、岡戸は涙の乾いた顔をほころばせて、「はい」とうなずいた。
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