高校野球の名曲『栄冠は君に輝く』のトリビア。作詞した作家の想い
スポルティーバ・トリビア vol.2【甲子園編】
雲は湧き光あふれて...。この時期つい口ずさんでしまうのが大会歌『栄冠は君に輝く』。野球部OBはもちろんのこと、カラオケでは誰もが一緒に歌える、いまや国民歌と言っても過言ではない。
8月6日にスタートした、夏の甲子園 カラオケにあるということは、著作権管理もしているであろう、と調べてみると作詞も作曲もJASRACに権利信託されている。ちなみに、この曲の歌ないし演奏をリリースしているアーティストは個人、バンド、オーケストラなど合わせて13組ある。かなりのカバー率だ。
加賀大介作詞、古関裕而作曲の『栄冠は君に輝く』は1948年に作られた。朝日新聞がはじめに詩を公募し、選ばれた作品にメロディーが付けられた。当時、すでにプロの文筆家であった加賀は、「懸賞金目当て」と思われるのが嫌で、婚約者の名前を借りて応募している。加賀自身もかつては野球少年だったのだ。
加賀は生前、一度も甲子園に足を運ばなかったという。じつは、16歳のときに仕事仲間と草野球をしている最中のケガが原因で右足を切断する手術を受けている。それ以来、野球とは一定の距離を置いていたのかもしれない。それでも、できあがった詩からは、真夏の青い空や眩いばかりの白球、若き選手たちの輝く汗や息遣いまでもが伝わってくる。
作曲家の古関裕而も紹介しておきたい。阪神タイガースの「六甲おろし」(正式名称「阪神タイガースの歌」)、読売巨人軍の「巨人軍の歌(闘魂こめて)」、中日ドラゴンズの「ドラゴンズの歌」などは古関による作品だ。こちらも間違いなく野球愛に溢れている。