佐々木朗希が163キロよりも目指すべきもの。「急がば回れ」の夏 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 明らかに大船渡に追い風が吹いている。だが、4回戦で対戦する盛岡四はシード校であり、以降も強敵が続くことに変わりはない。チームが勝ち上がるためにも、佐々木の国宝級の体を保護するためにも、大和田健人や和田吟太といった投手陣の奮闘は必要不可欠になる。

 そして、勝ち進む過程で一瞬でも佐々木のリミッターが外れる瞬間が訪れるのか。佐々木の将来を思えば過度な期待は禁物だとわかっている。それでも、一度でも目にしてしまえば、再び見たくなってしまう。そんな蠱惑的(こわくてき)なボールなのだ。

 もし、今夏にまた佐々木の「本気」の一球を見ることができたら、その時はまた及川に冒頭の問いを繰り返してみようと思っている。

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