自動車教習所の教官が選手。梅田学園の
奮闘に都市対抗の面白さを感じた (3ページ目)
しかし、その後はシティライト岡山のリリーフ左腕・平岡航(伯和ビクトリーズからの補強選手)に抑え込まれ、梅田学園は3対4で敗れた。試合後、堤は「なんとか1勝したかった」と絞り出し、その思いを語った。
「(梅田碇備)社長にはここまで野球部を存続してもらったので、なんとか1勝を挙げてちょっとでも恩返ししたかったです」
一塁側スタンドには「交通安全」と染め抜かれた横断幕が掲げられた。選手の左袖にも「安全運転」の文字がプリントされ、梅田学園野球部のホームページには「野球を通じて交通安全を伝える社会人硬式野球チーム」というインパクト絶大のキャッチフレーズも躍る。彼らにとって安全運転を訴えることは使命でもある。だからこそ堤は「1試合でも長く、あの横断幕を掲げたかったんです」と悔やむ。
都市対抗にはさまざまなチームが出場する。企業チームの数は全盛期より減っているとはいえ、いまだにさまざまな業種の企業チームが東京ドームを沸かせている。それは日本経済の豊かさの名残りとも、野球がいまだ文化として社会に溶け込んでいる証拠とも言えるかもしれない。
宮崎梅田学園の奮闘には、あらためて社会人野球の面白さと野球の底知れないエネルギーを感じさせられた。都市対抗は7月25日まで東京ドームで開催される。それぞれのチームを支える人々に思いを馳せながら観戦してみてはいかがだろうか。
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