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豪快ここに極まれり。近大の
和製ハーパーは来秋ドラ1が確実だ

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 まさか、佐藤輝明(近畿大3年)が代表に選ばれないなんて――。

 6月23日、侍ジャパン大学代表の選考合宿を経て、24人のメンバーが発表された。そのなかに大学球界屈指のスラッガーである佐藤の名前はなかった。

コンディション不良で代表落選となった近畿大3年の佐藤輝明コンディション不良で代表落選となった近畿大3年の佐藤輝明 おそらく、生田勉監督をはじめスタッフ陣としても苦渋の決断だったに違いない。選考合宿初日の打撃練習では、佐藤だけ打球の次元が違っていたからだ。爆発力を感じさせるインパクト音に打球の伸び。ひとりだけズバ抜けていた。

 186センチ、92キロの巨体にもかかわらず、バッターボックスでの構えからは余計な力みが一切感じられない。ゆったりとすり足でボールを呼び込むと、まるでバットを天に突き上げようかという勢いで振り上げる。両腕がゴム状になっているのではと錯覚を起こすほどのダイナミックなフォロースルーこそ、佐藤の醍醐味である。

 ここまで規格外の大学生スラッガーは、そう現れるものではない。日本ハムの大渕隆スカウト部長に「近大の佐藤はちょっとモノが違いますよね?」と尋ねると、大渕スカウトは「あぁ~......」とうなりながら首を横に振って、こう続けた。

「彼はもう飛び抜けています。間違いなく来年はドラフト1位で指名される選手になるでしょう」

 昨年は2年生ながら大学代表入りを果たしている。それなのに今年の選考から漏れた理由は、コンディショニング不良である。選考合宿初日のシートノックでレフトのポジションに入った際、送球で右ヒジに痛みを感じたのだという。合宿2日目の紅白戦には出場せず、一塁ベースコーチとして過ごしていた。

「バッティングには影響がなかったので『使ってください』と言ったんですけど、生田監督から『やめておけ』と止められました」

 本人としては、打ちたくてウズウズしていたようだ。選考合宿3日目の紅白戦にはDHで出場し、3打数1安打2三振という結果だった。首脳陣としては佐藤の長打力を失うことは痛いものの、投げられないリスクのある選手は選びにくかったに違いない。そして当然、将来のある佐藤の体に配慮したのだろう。

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