近畿大の村西はサイドハンドで152キロ。快速球の秘密は左足にあり (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

 倉本氏によれば、淡路島には野球熱はもちろん、選手たちの素材のよさ、能力の高さを感じていると言う。

「淡路島は昔から野球が盛ん。阿久悠さん(淡路島の洲本高校OB)の作品にも描かれていますし、中学の軟式野球でも何回か全国優勝をしていて、1953年のセンバツで洲本高校が優勝した時のメンバーの多くは、地元の州浜中出身で、中学時代に全国優勝しているメンバーなんですよ。運動能力の高い子は多いです」

 そんな環境下ですくすくと育ってきた村西はまさに天然素材。ウエイトトレーニングも積極的に行ない体重が増加したとはいえ、まだ大学トップレベルの選手と比べれば華奢な部類に入る。のんびりした話しぶりに加えて、この体を見ると、150キロを超えるような球を投げることは想像しがたいが、快速球の秘密は踏み出す側の「左足にある」と見ているのが、ロッテの永野吉成チーフスカウトだ。

「スピードが出るのは左足の使い方がいいからです。(足を上げてから着地する直前に)タメができるので、うまく体の力を出せています。個人的には短いイニングで全力投球をするリリーフタイプのように感じます」

 村西自身も又吉克樹(中日)やMLBのサイドハンド投手の動画を見て参考にしていると言うが、あえてタメを意識しているわけではなく、自然とそうしたフォームになっていったのだと言う。

 昨年秋はリリーフエースとして活躍し、チームの明治神宮大会出場に貢献。単位取得が順調で授業も少なかったこともあり、授業のない日は4~5時間ほど昼寝して体調を整えられたことも好調の要因となった。

 今季リーグ戦では、2カード目以降から初戦の先発を任され、長いイニングを投げても140キロ台後半を計測。変化球もカーブ、スライダー、カットボール、スプリットを織り交ぜた投球で、ここまで6試合で40イニングを投げ、50奪三振、自責点9と好投を続けている。

 首位攻防戦の立命館大戦で勝ち点を落とし、まさに背水の陣として臨む最終週の関西大戦。村西の力強い投球でチームを再び全国の舞台へと導くことができるのか。野球どころ・淡路島からまたひとり、新たなスターが生まれる可能性は、日に日に現実味を増している。

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