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佐々木朗希の投球は「世界が違う」。
最速163キロで変化球も一級品 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 そんな猛者が集まるなか、誰よりもインパクトのあるパフォーマンスを見せたのが佐々木だった。2イニング、25球を投げて6者連続奪三振。佐々木が恐ろしいのはストレートだけでなく、スライダー、フォーク、チェンジアップという変化球も超一級品ということ。この日は全球種で三振を奪ってみせた。

 さらに驚かされたのは、練習後に高校日本代表監督の永田裕治監督がこう述べたことだ。

「佐々木朗希に関しては、まだピッチングを始めたばかりと聞いていたので、無理はさせないようにと2イニング20球くらいをメドに考えていました。そのなかではかなりの出来かなと思います」

 まだ、これ以上があるのか......。楽しみというより、イメージが湧かずに途方に暮れた。

 続いて会見場に現れた佐々木は、こう語っている。

「すごく緊張して、変に力が入ってあまり指にかかりませんでした。2ストライクに追い込んでから力んでしまったので、精度を上げていきたいです」

 取り囲んだメディアからは、しきりに「163キロ」という数字への感想を求められた。だが、佐々木はか細い声ながら、報道陣のあおるような質問をかわしていく。

「スピードがすべてじゃないので。コントロールとか変化球とか、まだ足りないところがあるので」

 佐々木の顔を間近に見上げてみる。肌は雪国の長い室内練習生活を思わせるほど白く、まつ毛は整然とつり上がっている。マウンドでは鬼のように見えていたのに、マウンドを降りると物静かな青年になっていた。

「(国際大会試合球の感触は)変化球があまり曲がりませんでした」

「三振を取った球種は覚えていません」

「いつもテレビで見ていたバッターがたくさんいて、打たれるんじゃないかなと思っていました」

 言葉少なに、消え入りそうな声で答える佐々木が唯一饒舌になったのは、打者として奥川と対峙し、ピッチャーゴロに抑えられた場面について尋ねたときだ。

「初球(ストレート)は見えなかったですし、コーナーにずっと投げられたので、ああいうコーナーを突く投球は自分にはできないので勉強になりました」

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