昨年以上の期待。2019年ドラフト戦線をリードする9人の逸材たち

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 昨年のドラフトは、1位指名で高校生が5人、大学生が6人、社会人が1人。2位指名では高校生4人、大学生7人、社会人1人と、高校生と大学生が大多数を占めたが、今年のドラフトの上位指名は高校生、それも投手で占められそうな雲行きである。

 昨年は、根尾昂(大阪桐蔭→中日)と小園海斗(報徳学園→広島)に4球団、藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)に3球団と、3人の高校生野手に1位指名が重なったが、今年は3人の"高校生投手"に指名が重複すると見る。

最速157キロを誇る大船渡の本格派右腕・佐々木最速157キロを誇る大船渡の本格派右腕・佐々木 その3人とは、佐々木朗希(ろうき/大船渡高/右投右打)と奥川恭伸(やすのぶ/星稜/右投右打)に、今年は左腕が枯渇状態であることから及川雅貴(およかわ・まさき/横浜高/左投左打)が浮上してくる。

 なかでも潜在能力の凄さで言えば、佐々木だ。身長189センチ、体重91キロの大きなサイズにもかかわらず、ボディーバランスが秀逸で、フォームがまったく崩れない。フォーム自体はすごく静かで、たいした力感はないが、それでも150キロを連発するから驚かされる。

 打者にしてみれば、「その腕の振りでどうしてこれだけのスピードが出るのか......」と戸惑うに違いない。なかの拍子にスイッチが入れば、軽く160キロを超えてきそうな雰囲気を漂わせている。

 佐々木と同じ本格派右腕でも、大舞台の経験値の高さで上回るのが奥川だ。

 中学軟式で全国制覇を達成し、ここまで甲子園にも2度出場している。昨年秋も石川大会、北信越大会を当たり前のように勝ち抜き、明治神宮大会にも出場。ダントツの優勝候補に挙げられながら、決勝でよもやの敗戦。それでも、全国の舞台で着実に経験を積んで、高い実戦力を身につけた。

 奥川の最大の特長は角度だ。踏み出す左足のステップ幅が浅く、そのためボールに角度がつく。身長183センチから投げ下ろすためにリリースポイントが高く、打者は思わずヘッドアップしてしまう。そうなるとインパクトの精度が落ち、打ち損じを引き起こす。これは間違いなく大きなアドバンテージだ。加えて、スライダー、フォークといった変化球もハイレベル。

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